『脳の中の倫理』+赤ちゃんポストその後(追記 |
我々の倫理、信念はどこでどう生まれるのか、脳神経学者ならずとも関心の高い問題です。 前回のエントリーからの流れで読み直した、ニューロ・エシックス関係のベストセラー(bk1)。原著2005年、邦訳2006年刊。結論としては、「左脳の解釈装置」が我々の信念を作っている…というのがガザニガの回答です(p.203以下)。 茂木先生の書評(読売)など、既に内容についてはあちこちで紹介されています。個人的には、脳の強化の倫理的問題につき、ピンカーとサンデルの指摘に応える形で自身の立場を明らかにしている第3章が興味深かく読めました。 テクノロジーの脳への応用の問題、特に心を見る(知る)ことが可能かどうかという問題について、本書の中でガザニガが示しているスタンスについては、実は私も同意見。それはつまり、脳の画像化(視覚化)で見ることが出来るのは運動のみであり、そこから(直接)評価を引き出すことはできないというもの。 実は、ここ最近の何かしらセンセーショナルに脳研究の成果を(過大に?)報じる宣伝文句に、ちょっとうんざりすることがあります。 とはいえ、盛り上がった方が、そっち方面の研究に予算がつき易くなるわけで。ある程度なら誇張のある宣伝文句も研究者にとっては歓迎すべきことなのかな? 26日に赤ちゃんポストの検証会議(熊本県)が、最終報告をしたと報じられました(読売、日経)。 ポストを利用した理由には「戸籍に入れたくない」とか、ちょっと批難したくなりたくなるものもありますが…。 追記:県からは、ポスト利用での匿名性の排除が求められたのですが、28日ポストを設置している病院の理事長は、匿名性の継続を記者会見で表明しました(読売、毎日、朝日…他多数)。 それから、韓国で脳死女性が5年ぶりに意識を戻したという怪しげなニュースが…(News24)。ほんとか、これ? |
by vla_marie
| 2009-11-26 22:39
| 本
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