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くわぁんりんの日記
by vla_marie
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『エンハンスメント』+シンガポール初臓器売買事件

 生命環境倫理ドイツ情報センター編(松田純/小椋宗一郎訳)のレポート。この邦訳本が図書館に入っていたので、チマチマ読んでみました(bk1)。原著(2002年刊)は市販されておらず、ココからのネット通販しかない、と本書「あとがき」にはありました。邦訳は2007年刊。
 独逸生命倫理について数々の邦訳を手がけて来た松田氏の訳なので、まー間違いは無いと思います。原著を入手する銭も無ければ、読む暇もないので、これで済まそうかと思ってみたり。
 本書の構成としては、まずエンハンスメントの提起する問題を3つ提示し(p.4~)、これに対して第1章で総論的問題点の整理が行なわれます。
 1).医学および医療行為の課題と目標は伝統的に健康の回復と維持であると見られてきたが、エンハンスメントはこの課題と目標に合致するか
 2).健康保険制度における財源不足という背景があるなかで、エンハンスメントは公的健康保険制度による補助に値するか
 3).エンハンスメントはそもそも倫理的に正当化できるか(cf.正義、機会の平等、人格の本物性、人間の条件の道徳的地位…)




 そして、これに続いて5つの各論的検討が加えられます。
 1).遺伝子エンハンスメント、2).小児医療における成長ホルモン剤の利用、3).向精神薬、4).形成外科と美容外科、5).ドーピング

 例えば、遺伝子エンハンスメント(p.24~)について。
 1).その介入が病気との関係で線引きができるか妥当なのかという議論の状況がある。
 2).これに論争があるにせよ、しかし、介入に当たっての医学上のリスク便益比は、エンハンスメント賛成者からも検討要素として採り上げられる。
 3).エンハンスメントが誰にとって利用可能であるべきか?正義論における自由重視モデル(パーマ、ノージック)と平等重視モデル(ウォルターズ)とで見解が異なる。ウォルターズの言うように、エンハンスメントを「平等」の観点から弱者に優先的に認めるとしても、保険適用まですべきかには反論アリ。
 4).エンハンスメントには、社会的差別を引き起こすおそれ、優生学的に利用される懸念がある。
 5).同意能力の無い第三者への適用には様々な論争がある(ex.アンダーソン、ブキャナン=ブロックetc.)。ハーバマスは治療目的を超えて「優勢学的視点から積極的に介入すること」を拒否する(p.35)。かような介入は、子供を特定の人生設計に刻印し、そこから逃れて「自分の人生の作者」になることを否定する。子供は第三者の思いのままになる。そのような被介入者は、自律的な人格として自他ともに認められることが困難になり、当人は「自分の人生の作者として分割不可能性」を持てず、他者からは人格としての当人の「対等な身分を」疑われると、彼は(人類倫理学的理念の規範から)異議を唱える。これに対し、ビルンバッハーは異なった視点からの解釈を示すし、レスニクは全ての遺伝子技術が「開かれた将来への権利」を侵害しないとする。
 6).人間の人間の不完全さ、「偶然性」に価値があるとすれば、人間を改良しようとする試みがこれを損なうのでは?
 7).バイオテクノロジーの基準となる人間像について、様々な議論がある(ex.ハーバマスは人類のアイデンティティの問題と「人類倫理学的自己了解」が問題となるとし、ジープは自然(本性?)の検討を不可欠とする)。

 などと、分析されていました。

 ほか、ランツェート博士の「病気と病人」と題した論文の邦訳も付録に付けられています。「病気」の概念を検討したもの。病気概念の検討はエンハンスメント論とは、関係がある。(低身長は病気か?不妊は病気か?そこでの医師の役割は?保険の適用は?)

 確かに、エンハンスメント問題を論じる際に、この病/改良区分はかなり厄介なもので…特に保険適用が絡んでくると、欧州-日本型(公的保険ベース)とアメリカ型(民間保険ベース)とでは果たして議論が噛み合っているのかどうなのか?結構微妙なところがあるような気がします。
 「あとがき」にも触れられていますが、本レポートは問題の整理を試みるもので、解決を図るものではありません。しかし、それだけに収集している情報が多く、2002年までの網羅的な論文・著作リストが付いているのは、これから勉強を始める方には超便利なんでないかと思います。

 先月末発覚したシンガポールの臓器売買事件(星日ビジネスニュース)。
 百貨店の会長が売買に関与していたりと、現地ではかなり話題になっているようで、シンガポールのニュースで良く採り上げられています(channelnews asia)。が、しかし、捜査中にも関わらず臓器移植を続行していたとかでまた非難を受けているとか、先程TVでやっていました。この件についての別の記事は、日本の宇和島の事件にも触れています。どうも社会問題化しているみたいなので、今後日本でも紹介記事が出るかもしれません(要注意)。

 ちなみにインドでも最近(6/30)、ギリシャ人ブローカーの絡んだ臓器売買事件が摘発されています(AFP)。
 こっちは闇診療所での実施や、ドナーへ強要があったことなど…どうもかなり悪質なような。
by vla_marie | 2008-07-10 23:41 |
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