『未来世界の倫理』(修正 |
スティーヴ・ライヒの特番をつけっぱなしにしています。ミニマルはよく聴きますが、全然弾く機会が無いのが残念です。 一人で演るにしても、ライヒのソロ曲ってあんまり無かったような…。グラスやナイマンなら結構あるんだけど。 精度は…CDで聴くアンサンブル・モデルンの精度に比べると、同一団体でもちっと落ちますね。リハどれくらいやったのだろう? P.S.『ディファレント・トレインズ』が聴けたので満足です(笑。(最終更新:8 juillet 2008) 一応、本日〆切の原稿は入稿したので、就寝前にエンハンスメント倫理の古典、G.グラヴァーの著作を読みました(bk1)。 原著1984年、邦訳1996年ということで、著者の未来予測が外れているところもありますが…まぁ、それでも第5章(p.103以下)の中枢神経刺激薬の広範な普及とかは、当たってしまったのかも(苦笑。最近話題のDBSについても第6章(p.119あたり)で記述があるのは…流石。 本書の対象とするのは、1).遺伝子工学による人間改造と、2).ブレイン・コントロールと、3).両者の共通問題ですが、「敢えて極端な事例を考えることで問題をクリアにする」ことを狙っているので、SF小説みたいなあちこちに記述があります。まぁ、タイム・スパンを変えて事例を考えると、帰結が違うことは良くありますし(ex.移植術の妥当性・有用性)。いわゆる「思考実験」です。 結論的には、本書では、彼は多元論的功利主義的(と評されている様子;例えばp.256以下)の立場から、かような技術の政府の強制的な使用については断固否定します(例えば、p.135)。一方で、一定程度での(害悪の無い)個人の選択によるエンハンスメントは肯定する、という見解に立つわけです。 これを具体的に象徴しているのが、遺伝子操作における1).中央集権システムと、自由主義的な2).スーパーマーケット理論の中間に立つ、3).「混合システム」(個々人の決定に対し、中央政府は拒否権"のみ"を持つ)であり(p.67以下)、著者はこのシステムに魅力を感じています。 本書には、加藤尚武氏による解説とコメントも付されており(p.313以下)、全体像は掴み易いものになっています。 |
by vla_marie
| 2008-07-04 23:42
| 本
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