『安楽死と尊厳死』 |
ルポライターの保阪正康氏による安楽死本(bk1)。1993年刊で、手元の本が2007年21刷!ロングセラー作品ですね。 本書執筆当時は、東海大学安楽死事件は係争中という時代で、内容もそれなりに古いです。ただし、それがかえって本書を特徴付けます。というのも、高齢者の薬付けなどが明るみになって来たところで、「出来高払い」や「レセプト審査」のあり方にも疑問が呈されていたわけで。あまり、自分の記憶としては覚えていないのだけど。 つまり、安楽死・尊厳死の話も、高齢者への「過剰医療」といった文脈を踏まえて著述されています。現在「後期高齢者〜」で問題になっているような状況とは違うわけです。インフォームド・コンセントとかセカンド・オピニオンなども…それほど一般化していなかったでしょう。 筆者の立場は安楽死肯定論ですが、それはあくまで個人の領域に留まるべきであり、社会的に安楽死について見解が収斂したり後押しするような状況を望んでいる訳ではありません。また、各種の安楽死関係の報道に載って、尊厳死協会に登録する方にはファッションとして登録するのではないかと疑い、本当に死の瞬間だけでなく死の向こうの死生観を熟考すべきだと主張します。人生というプロセス全体で死を考えろってことか。 前述したように、現在状況がかなり変わっております。 最近は、「高齢者の医療・社会保障が切り詰められ医療格差が叫ばれる中で尊厳死を法制化することは、果たして良いのか?自己決定(故に自己責任)という名の下で、死へと向かう決定を迫ることにならないか?その死に尊厳はあるか?」とかいう尊厳死批判が多いのでは? さて、夕方からなにやら取材があるようです。遅刻しないように向かわなければ(汗。 |
by vla_marie
| 2008-06-05 18:04
| 本
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