『脳死臨調批判』 +メモ |
3部作のトリ(bk1)。単行本の方は1992年刊。 脳死臨調(1990年2月〜92年1月)が臨調答申を纏める過程において、薗批判として中央公論に連載されたものがベースになっています。一般向け。 筆者の主張は変わるところがあまり無いのですが、「死」の定義について、社会的な死というものについて第1章で語っている点、それから、脳死の判定について新しい知見に基づいてあれこれ追加の提言があります(視床下部の活動をどう評価するか(p.173以下;結論はp.210, p.220)、など)。 前者については、竹内基準はもともと臨床上の蘇生限界点としての「脳死」基準だったので(呼吸器取り外しなど…)、それをそのまま臨調が臓器摘出の「脳死」判定に用いるのはいかがなものか、と。というのも、「もう助からない」と「既に死んでいる」は違う、という話のようです。 後者はその判定基準に関して、専門的な知識を持たない臨調委員がいかに杜撰な議論をしているかということを批判する上で、色々出てきています。 えーと。基本的に前著を読んでいることを前提にした記述が多いので、いきなり読まない方が良いかと。 あと、社会的な死について頁を割いている割には、立花氏自体が結構「機械論」に近い議論をしているのが気になります。結局、「脳死」の社会的見地については、ベースは科学的・医学的なところに求められて、その科学レヴェルの議論が足りないという主張に聴こえなくも無いかな。 メモ。 14日、フランス下院が遺伝子組換食物解禁案否決だそうです(毎日)。 臓器移植。 13日に独協医科大越谷病院で71例目の脳死判定、70例目の臓器提供が行なわれました(毎日、毎日(16日))。 13日、病腎移植容認を「修復腎移植を考える超党派の会」が主張とあります(愛媛新聞、東京新聞)。この影響もあって、14日には宇和島特集病院への行政処分に関わる聴聞が延期される事態になっています(産経、愛媛新聞)。 そう言えば…病腎移植を巡って臓器移植法のガイドラインって変わりましたよね。今、国会に移植法改正案が提出されていますが、その肝は「提供意思表示方法の変更」と「年齢」の問題。前者は法改正が必要ですが、後者は指針の方にありますが…コレもしやそもそも法改正が形式上は必要なかったりするんでは。 再生医療。 13日の毎日新聞、4月15日に行なわれたiPS細胞関係のシンポジウムについて特集が出てました(その1、その2)。 A先生からアドバイスを受けた案件、あまりにジャーナリスティックだという指摘があるので、アカデミックな方向へ色づけを試みることに。別の先生から1つアイデアを受けて帰るも、帰宅してじっくり考えると…うーんなんか不整合なところが(困。 |
by vla_marie
| 2008-05-14 23:49
| 本
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