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くわぁんりんの日記
by vla_marie
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『いのちの始まりの生命倫理』

『いのちの始まりの生命倫理』_b0035832_18144371.jpg 先週末免許更新のために実家に帰ったときに撮影したコナン君。相変わらずの人気者のようです。だけど、私は青山剛昌記念館にはまだ行ったことが無いです。

 さて、読書メモ。
 宗教学の立場から、総合科学技術会議の委員としてヒト胚の生命倫理問題に関わった島薗先生。氏が、これまでの議論の経緯と問題点の炙り出しを行なったのが2006年に刊行された本書です(bk1)。内容確認のために読み直ししました。最近直ぐに読んだ本の内容を忘れてしまうんだよな…。

 この本では、科学技術会議生命倫理委員会から総合科学技術会議生命倫理専門調査会を経て、1997年から2004年に及ぶ国の審議が扱われています。議論の結果として作成された報告書のうち、2004年7月のヒト・クローン胚の作成・利用を認めた最終報告書(薬師寺案が示されたのは6月)には、結論ありきの委員会の運営方針を巡って様々な批判が為されましたが、委員の立場から内情を良く知る島園先生のこの著書でそのへんの経緯がかなりよく見えてくることと思われます。
 その後、韓国の論文捏造事件で一旦議論がストップ。2007年12月4日に文科省生命倫理・安全部会の作業部会が改めてヒト・クローン胚の作成・研究にGOサインを出し(iza)、再び総合科学技術会議で議論が為されています(生命倫理調査会)。



 本書は、島薗先生の調査会最終報告書に対する(慎重論からの)対案、受精卵やクローン胚の問題を語る上での倫理的問題の検討課題の整理、そして時系列的な委員会の運営に関する記述とその資料によって構成されます。
 この議事の運営に関して著者は、徐々にそれが産業育成促進の名の下に、本来的で基底的な倫理問題よりも当座の問題への対応に矮小化されて行く様子、委員の構成も科学者や法学者など、より実務的な方向に改変されて行く様子、そして、問題の(強行採決にも似た)強引に結論を導き出した最終報告書への道程がザクッと要点を抑えて記しています。その背景には、時間のかかる倫理的な難題解決を計るよりも、生命科学の技術な発展のスピードが早く、またそこに苛烈な国際競争を背景とした産業的誘因が大きく働いていることが伺える記述です。要するにここでは、本来的に人の手段化や資源化を問題とする「人間の尊厳」に関する議論が、(本来それが抗うべきであるところの)経済的誘因により掘り崩されスキップされて行く構造があるように思います。
 パブリック・コメントに関しても推進派の工作を臭わせるなど(p.229)、突っ込んだことが書かれていて、討議の在り方について色々考えさせられます。

 こうした議論の背景や経緯を見て個人的に思うのは、「生命倫理政策の議論と公共事業の継続の問題とは結構構造が似ているな」ということですか。
 「一度予算がついて着工しちゃったので、予想より住民に益が無いとか環境アセスメントで生態系への影響が多少出てきたとしても工事は続けなきゃならんのよ」という公共工事継続にありがちな議論と、「経済的効果も期待できるし患者の治療も期待できる、しかももう研究進めているんだから、多少倫理的な議論に穴があろうと議事の進行に問題があろうと、もうこの研究は進める方針で」というのと。当座の利益が優先される構造が似てないですか?
 また、島園先生は、「目的によってヒト胚の倫理的地位は変わらるのか?変わらない」という立場のようです(ex.治療目的のクローン胚と産生目的のクローン胚)。
 この点は、私も疑問に思っていたので(というか同意見)すが、意外に議論が少ない様な気がしますな。ちなみに憲法上の「研究の自由」との関係についても記述有り(p.52)。

 ちょっと用語が特殊なのはこの領域では仕方が無いとして、平易に書かれているので一般の方にもかなり読み易い本ではないかと思います。

 Oさんに紹介していただいた学会、報告者の募集にそろそろ掛かるということで、私も挑戦しようかと計画中。まずその学会の雰囲気を掴むために「学会誌を確認するか!」とPCで検索→所蔵無し(汗。
 幸い近隣の別の大学にはあるようなので、(開いていれば)週末に乗り込む予定です。
by vla_marie | 2008-03-28 23:48 |
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