『赤ちゃんの値段』 |
「四万五千ドルの寄付金があれば、この赤ちゃんは他の人に渡しません。(p.50)」 読売新聞記者が、海外養子縁組斡旋業の問題を描き出したドキュメント(bk1)。2006年公刊ですが、思うところあって昨日購入しました。 書評はWeb上からもいくつか見ることができます(日経BP、まぐまぐ)。ちなみに、この本が売り出された時期と「赤ちゃんポスト」が問題になった時期って、ダブっているんですよね。 著者の取材によれば、日本国内には、「望まない妊娠」によって生まれた子を海外に養子縁組斡旋する業者がいくつかあるそうです。そしてその多くは、届出の無い無許可斡旋業者だとか。 それら業者の多くは、子供のためだとか母親のためだとか…まぁ「人助け」、「善意」を打ち立てて斡旋業をやっているそうですが、実際には多額の経費や寄付金を強要されて(数百万単位)トラブルが生じるケースもあるみたいです。無許可ゆえ、団体の収支や斡旋実績の正確なデータが無いのだとか。 そもそも、こうした海外養子縁組は人身売買、児童ポルノ、臓器売買の懸念があるとされています。「子供の権利条約」(採択1989年/発効1990年/日本批准1994)は、子供にも基本的人権が保障されることを謳い、国家は搾取・虐待から子供を保護することとなっています。この21条では、国際養子縁組への公的管理体制を敷くことや、国内養子を優先することなどが勧告されているとのこと。今、条約集が手元に無い環境なのでちゃんとウラを取っていませんが…。またこれを受けて、国際間の養子縁組のルールを定めた1993年「ハーグ条約)(発効1995年だが、日本未批准)があるのですが、本書執筆時点では日本政府は批准に積極的でなかった様子。 ただ今国会での舛添大臣の答弁をラジオで流しっぱなしにして聴いていたら、里親制度の拡充等に着手するという話が出て来ていましたね。国内でのそういう状況の子供の養育については、これから力を入れるのかな? この本、仲介業者を通じて養子の斡旋を受けた夫婦の話や、「障害児なら安くする」と持ちかけられた話、母親に公園に棄児を促した話など、具体的な内容も記載されていまして、平易な文体ながら内容は重いです。 こうした事態につき、「当事者の都合もあるし、私的な問題だから」という理由で、目をつむったり思考停止して良いものでしょうか?実は、そこが倫理問題として我々が問われているところのような気がします。 話はがらっと変わりますが、SoftBankから新しく発表されたX02NKが、何だか良さそうです。まぁ、2年縛りを受けているので、私は買い替えられませんが(ITmedia)。GPS+BluetoothでiSync.対応なんて…Mac使い向けには最高なんだよねぇ。 |
by vla_marie
| 2008-02-01 23:44
| 本
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