市立宇和島病院の調査報告 |
18日に報道されていたものです(読売、朝日、毎日)。今回市立病院では調査委と(下部組織の)専門委が合同会見をやったようですね。残念ながらこの日は家に居なかったので、私は報道を見ておりませぬが…。 内容としては「概ね不適切な移植であった。」ということは間違いないようです。ただ、細かいところで各紙報道にズレがあるような…。 毎日の記事などを見れば、「癌腎臓の摘出にあたっての施術が移植ありきのものではないか?癌細胞の流出を止めるために先に血管を止めるべき〜云々」 などという批判が為されているようですが、この件については反論もあるようです。 というのも、この施術手順自体が1969年に提唱されたもので、現在アメリカでは必ずしも先に動脈を止めること無く、周囲組織から腎臓を剥離した後に血流を止める方法(生体間移植と同様の方法)が採用されていること。また、この場合に癌の転移率はそう増加しないという臨床データがあるようです(と、とーま君が記事を見つけてきていました)。フム。 断っておきますが、病気腎移植それ自体には倫理的・法的許容性があるとする主張に対して、一般論として私は肯定的な立場です。ただ、一般論として病気腎移植の許容性を問うことと、今回の腎移植問題についての倫理的・法的妥当性の問題はイコールでは無いハズ。 もっと言えば、医学的なエヴィデンスと倫理的な価値判断とは必ずしも一致するわけではないことへの留意も実は必要であったりするのでは?良きにせよ悪しきにせよ、今回の問題ではあまりそこのところは意識されていないような気が…(極点な例を挙げれば、人肉を食べることが医学的に安全だとしても、人肉を食べることが倫理的には許容されないケースはあり得るわけだ)。杞憂かな? ちなみに、「万波医師がカルテを勝手に処分していた」とかいう報道もありましたね(読売)。 えーと、故意にやったのではないのだろうけど、これは…病院側の責任は当然問われてしかるべきでしょうね。お粗末。 |
by vla_marie
| 2007-03-20 06:06
| なるほど
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