【ガイドライン案】精子の凍結保存→夫の生存期間に限定 |
日本産婦人科学会が、かねてから議論のあった凍結精子の問題について、「保存期間を夫の生存期間に限る」とするガイドラインを作成することで案を固めたようです(読売)。 理由は、9月の最高裁判決を受けた上で、「父子間に法的な親子関係が認められない以上子の福祉が充分に担保できない」からだそうです(平成18年度第1回倫理委員会議事録)。 正式な決定は来年の4月になる予定とのことです。 尚、この内容で決まったとしてもガイドラインなので法的拘束力はありません。この拘束力については昔から問題になっていますね(ex.大谷医師の学会への申請無しの着床前診断のケース)。 卵については保存期間が定められていたのに、精子についての保存期間が定められていなかったというのは、安全性の面からも問題があったような気がしますが(いくら精子が卵より長期保存に向くと言っても)、そうした面からも一定の区切りは必要だったような気がします(その区切りが妥当かどうかはさておき)。諸外国でも精子の保存期間を定めている例はありますしね。 また、日産婦が未婚カップルへの生殖補助医療の是非について今年4月に「容認か?」との報道が一部で流れました(読売)が、(自分もこの報道に惑わされましたが、)実際は婚姻カップルに限るガイドラインを出しています(「体外受精・胚移植に関する見解」(平成18年4月改訂版))。このことと絡めると、今回未婚男性の精子保存にも期間を定めたというのは、「将来婚姻する可能性があるが、その前に放射線治療などで生殖能力を失う可能性の方を対象とする」という意味で解して良さそうですね。 ちなみに法的な親子関係が認められないとしても、クリティカルに問題となるのは相続のケースに限定されるのではないかと思います。もし、仮に、「法的な親子関係は必要ない(金なんかいらない)から旦那の遺伝子を残したい」とかいう女性が出て来た場合についても、 学会としては認めない方針な訳ですね。 |
by vla_marie
| 2006-12-09 22:41
| なるほど
|
<< 臓器移植法改正法案、明日(13... | 宇和島の臓器売買事件初公判→懲... >> |