何でだかわかりませんが、ラズ読んでます |
今更、J.ラズを読むことになってしまいました。指導教官も未読、「皆で読みましょう」とのことであります。 『自由と権利』を読むらしいのですが、これは(個人的に)学部生時代に読みましたね。 「訳は悪くないけど、用語が統一されてなくて混乱するので…原著を読もう」と提案しましたが「社会人の参加者への負担が増える」とかで却下に。以前、サンスティンの講読をやった時に悪訳に苦しめられた記憶が蘇ります。。。 なもんで、自分だけ英文論文を探してきて講義にのぞんでみたりしたいのですが、流石にうちの大学レベルだと所蔵していない論文も多々ありますね。困った困った…、コピー依頼を出して来週までに間に合うかなぁ。。。 第1論文の"Right-Based Moralities"から順番に読むらしいので、今日はそれをやりましたよ。本文は有料サイトにしか見つけられなかったけど、無料で見ることのできるアブストラクトを見つけました(リンク)。 要するに、権利基底的な道徳原理ってのはおかしい、道徳は権利のみから導かれるわけではない(「権利→道徳」は疑わしい)。さらに、権利から産まれる義務から考えても説明できないものがある(「権利(義務)→道徳もやっぱり疑わしい)。ぶっちゃけ、「権利から道徳原理すべてを説明するのは無理なのでは?」という話ですね。 で、道徳の背景には、(権利も義務もあるかもしれなど、)”集合財”ってものが重要だとラズはしています。”集合財”っていうのは、公共財のうち固有の公共財(社会の構成員が財から得られる便益を享受することの非排除性を有する公共財=ex.寛容な社会など)のことらしいです。権利基底論者たちはこいつに(道具的価値以上の)本来的価値を認めないのだと。また、「権利を出発点として個々人が自律的に行動できることが道徳的」と権利基底論者たちは思っていると。でも、実際の自律は権利だけじゃなくこの”集合財”ってものを必要としているし、一般人はこの”集合財”に本来的価値を見いだして、そこから特定の(義務に至らない)行動をしてるんだよ!という主張のようです。 ふむ。「権利から道徳すべてを説明するのは無理でしょ」ってのは…そりゃそうでしょう。 (多分そんなに誤解はしてないと思うけど、)読み方が間違っていたらごめんなさい。 法実証主義は基本的に自然法的な存在を前提としないのですが、ラズはかなり自然法チックな論を展開するので参加者の皆さん混乱しておいででした。また、法実証主義は法の価値判断については留保する(その法が善か悪かという問題を扱わない)はずなんですが、何かこの点にもラズは首を突っ込んでいるような節が…まぁ、他の論文を読んでみないとわかりませんがね。 というか、凄い忘れているよ、私!勉強しないと! そういえばラズについてググっていたときに、ハートの著作に対する面白い文章を見つけました(リンク)。 |
by vla_marie
| 2006-12-01 19:51
| なるほど
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