上京、2学会参加 |
金曜から月曜にかけて東京に出向いていました。 主たる目的は青山学院大学で開催されていた法哲学会年次大会の聴講でした。 しかし当日、隣の国学院大学で医事法学会が開催されていることを知り、結局何度か往復して聴きたい報告のみかいつまんで聴いてきました。 法哲学会のメインテーマは法教育についてでした。これは、ゼミ生に同じような内容の研究をされている方がいることもあり、結構面白く聴けました。 法教育を語る重要性は、ロー・スクールの設置や裁判員制度をはじめとする司法制度改革の動きと密接な関係があるわけですが、ロー時代の非ローの法学教育についても様々な意見が交わされていました。 「非法曹・非研究者養成教育に目を向けてはどうか?」と言う声が結構ありましたね。例えば、公務員やパラリーガルとして必要な法教育というものがあるでしょう。 ただ、現況法学部からそれほど多くの法曹や研究者を排出しているわけではないので、「ローができたから法学部の存在意義が問われる。と言うことにはならない。」との声もありました。 上述のように、法学部についての現状分析にも大きな差異があるようでしたので(厳密に言えば、事実関係の認識の差異と現状評価における価値的差異は区別する必要がある)、様々な意見が飛び交いましたが、現実的には現行の教育内容を大きく刷新するのは難しいということではある程度の一致がありましたね(苦笑。 医事法学会ではいくつかの医療情報に関する事柄が中心のテーマでしたが、個人的に面白かったのは1日目のワークショップです。「高齢者医療における代諾手続きについて」というテーマでの報告がありました。 特に医療後見人制度の可能性について石井美智子先生の報告が面白かったです。 要約すれば、立法時(1999年)に「成年後見人は医療契約の代理はできるが、医療行為に対する同意権は無い」とされていたが、一方で厚労省の「臨床研究に関する倫理指針」などの諸ガイドラインは、「被験者が同意能力を欠く場合に、後見人を代諾者の1人として挙げて」おり、必ずしも直接本人の利益とならない臨床研究にすら後見人が同意を為すことが許されるとされていて、医療行為に対しても必ずしも代理人が同意を為し得ないという解釈のみが成り立つわけではない(同意ができると言う解釈もありかも)。 ここで、民法の成年後見人は、現況は財産管理の目的で選任されることが多いが、元々後見人には本人の身の回りの世話をする義務があるとされています(身上配慮義務)。財産管理のために選任された後見人がそのまま医療行為においても本人に代わって同意を為すのは問題があるけれど、現行の成年後見制度は、複数後見人を認めており、家庭裁判所は後見人間の事務の分掌を定めることができ、医療行為の同意権などを後見に設定することは、解釈論上無理があるかもしれないが、運用上は立法までの繋ぎとして用いることが可能かも…、というものでした。 昨年一時期成年後見制度について勉強していたこともあり、この主張は少々興味深かったですね。そういえば、お世話になっている民法の先生が、昨年成年後見を法人とか株式会社が引き受けるってケースについて海外の事例を研究されていましたねぇ。先生の話に聴いていたのは財産管理の方のお話でしたが、身上監護の方でも法人が引き受けているようなケースはあるのかなぁ…。 何か他にも色々面白い話題があったのですが、風邪が治りきらずにちょっと体力的にキツかったのが残念でした。もう、ぼーっとしてて…咳を我慢するのも大変でした。。。 |
by vla_marie
| 2006-11-27 16:47
| なるほど
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