小松美彦『脳死・臓器移植の本当の話』 |
昨年から某所でバイトをしている関係で、福祉・介護方面の情報収集もやっているのだけど、とてもじゃないけど処理しきれないデス。法律とか通達とか…変わりまくるので常に新しいものを追いかけて行かなければならないのだけど、自分の専門領域の生命倫理分野もアップ・トゥ・デートなんで…両方カヴァーするのは負担がでか過ぎます。もう、前者は少し手を抜かせてもらおうかな…、しんどすぎる。 さて、ずいぶん前に読んだのだけど、小松美彦『脳死・臓器移植の本当の話』(PHP新書、2004年)のメモをば。 (書評…というわけではないです。あくまでメモ!書評は立岩真也センセのサイトにありましたので、そちらをご覧下さい。)(最終更新: 8 Septembre2006) 我々(医者でない)一般人は、「脳死=人の死」として受け取るかどうかは別として、「脳死に陥った患者は二度と脳の機能を回復しないのだ」という認識を持っていることと思います。 しかし、その脳死判定に過誤があるかもしれないケースとか、手続的に不備のあるケースがあるとか、脳死者が出産したなどいう話は、殆ど耳にしないでしょう。ましてや、脳死者が時折動くこと、そのために脳死者に対して麻酔下で臓器の摘出が行われているという実態は殆ど知ることがありません。 (特に血圧の上昇が見られたり、ラザロ徴候が見られるケースは、それがすなわち脳幹が生きていること=脳死状態では無いことを示している可能性がある、ということで医学的・倫理的にどうなのか議論があるところ。) 本書は、そうしたあまり知られることの無い脳死・臓器移植に関わる事柄を事細かに、しかも(医者や倫理学者ではない)一般人でも問題が理解できるように書かれているところがポイントかと思います(特に第三章を参照)。 もう一つのポイントは、脳死・臓器移植において、法制定以前とりわけ問題になった和田移植、法制定後の最初のケースながら不備のあった(実名報道があったり、判定手続を誤った)高知赤十字病院移植について、時系列を追う形で整理されている点でしょう(第6章)。 (”脳死”に懐疑的な著者の考え方に賛同するかどうかは別として、)新書ながら、この問題について勉強するのに役立つと思います(特に、「ラザロ徴候」については、他の脳死問題についての書籍が必ずしも触れているわけではないので、ポイント高し)。 追記:372ページ以降で、臓器移植法の真の目的は人体資源化にあると書いている点も面白いかも。 「ラザロ徴候」については、「脳死」臓器移植に反対する関西市民の会のこのページの真ん中あたりに説明と写真がありますな。動画もそのうち見つけてこよう。。。 P.S.① み〜さんが出産したので思い出したのですが、『ダブルシフト』が見に行きたかったんだ…。と、東京まで行かなければならないのか…。 あ、紀子様もご出産だそうで。いやぁ、めでたいですね♪ P.S.② iBookがDVDを読み込んでくれなくなりました。この症状2回目なんだよね(前回は補償修理対象でした)。クリーニングしても直らなかったら、修理に出すかなぁ。論文執筆で忙しい時期なのに! |
by vla_marie
| 2006-09-06 07:03
| 本
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