リー・M・シルヴァー『複製されるヒト』 |
夕方から高校のOB会の練習に参加しようと思っていたのだけど、2徹したこともあり…車で無事にたどり着ける自信が無いため断念。頭が朦朧として来たので、糖分と水分採って眠っていました。 今日は(フリマで買った本を)一冊読む。原著が1997年だから、10年前の視点で未来の生殖医療技術の発展と社会の変貌に関わる倫理問題を啓蒙する本ですね。10年後の今読むと、当たっているところもあれば、当たっていないところもあって、「科学者の将来予測って、どのくらい当たるのかなぁ〜」とか考えながら読んでました(著者も科学者なので)。所謂、学術書の類ではないので、流し読み。 コレ、訳がこなれていて読み易い一般向けの倫理本ですね。少々ジャーナリスティックな傾向もありますが、細かい事実関係も押さえてあってバランスは悪くないかも…。ただ、内容が多少古いのもさることながら、注釈のつけ方がマズいかと。かなり引き難いです。 (巻末の注釈に対応する(*1)とかの表記が、本文の方には無いのですよ…) 多分、これは邦訳出版するときに、原文に無い注釈を本文に差込むことが契約内容で禁じられていたんでしょうな…。 この本、未来に遺伝子改造の恩恵を受けたジーン・リッチという階級が登場し、差別・格差が生じることを指摘した箇所が特に有名ですが、10年経った今でもそういった問題は生じていません。 但し、この指摘が発端となって種々の議論(とりわけエンハンスメントについて)が活性化されたことを鑑みれば、生命倫理のフィールド上では記念碑的な本であることは確かでしょう。 資料的価値は高いか。 |
by vla_marie
| 2006-08-09 18:41
| 本
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