凍結精子出産訴訟はいよいよ最高裁へ |
時事ネタはまとめて書くと疲れますね。はい、次は、私の専門領域です。 2004年に高松高裁で出されたのが、夫の死後の生殖補助医療によって産まれた子の認知訴訟判決。あれは、聞き取り調査などによって「夫の生前の同意がある」として認知を認めたんですよね。その後国側が上告しておりました。 その間、同様の事件を扱った東京高裁判決では、認知を認めない判決が出てまして、関心の集まっているところだったのですが…、どうやら最高裁では高松高裁判決は覆る見込みのようですね。 追記:7月7日から弁論が開始されたようです、最終的に判決が下るのは9月4日とのこと。 (最終更新:1 aôut 2006) この死後生殖の問題については、いくつかの立場から「認知を認めるべき」との声もありますね。とりあえず、問題の前提としては、以下の様にまとめられると思います。 ①生物学上の親子=法律上の親子とは限らないこと。 ②(法律上の問題として、)判例・学説上、出産の事実により母子関係は発生すると見られていること。代理母のケースではこの点がネックになるのだが、この死後生殖のケースでは問題にならない。 ③(それ故、父子関係を確定することが必用になるのだが、)本件では嫡出推定が及ぶ期間が過ぎた後に死後生殖を行なったため、民法上の規定が無く法解釈が必用。父方の同意の有無が鍵となった。 個人的に強調したいのは、この判決は戸籍上の父子関係に関わる訴訟であるということです。つまり、裁判所がこの一連の判決で「戸籍上の父子関係を認める」としたとしても、それが即に、「凍結精子を利用して子どもを産むことを(法的に)許容する」ということにはならないだろうということです。 |
by vla_marie
| 2006-04-15 10:18
| なるほど
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