『はじまった着床前診断』 |
流石に報告の日まで日にちが少なくなってきたので、お腹が痛いのを我慢して本を読む。まずは大谷徹郎・遠藤直哉『はじまった着床前診断』(はる書房、2005年)を、要点をまとめつつ読み直す。 一般向けに平易に書かれた着床前診断についてのQ&A本であり専門書ではない。ただし、著者が例の大谷医院(学会の会告を無視して着床前診断を行なったので有名になった)の院長その人のものであるため、どういう姿勢でどういうものを書いているのかを知ろうと思って購入した。 内容としては、一般人にも分かりやすい言葉を選んでいる点は評価できる。ただし、内容が客観的かと言われれば、若干プロパガンダめいた部分も無きにしもあらず…と言った所か? 例えば、着床前診断についてのFAQが載っている箇所、44頁辺りでは以下のような記述が見られる。 Q…着床前診断は生命の選別にあたりませんか。 Q…着床前診断は障害者差別を助長しませんか。 「あたりません」、「しません」こりゃ、めちゃくちゃ断定的ですね( ̄□ ̄;)!! これは、実際(産科婦人科学会で認めていない)着床前診断を受けようって方が、倫理面で精神的負担を負わないようにって配慮?(とてもこれだけで倫理的説明がついたとは思えない) この本はそもそも倫理学の本ではないことは念頭に置いている。ただ、この解答はちょっと乱暴な書き方過ぎないか?これでは大谷医師の主張が良くわからないが、おそらくこういうことだろう。 つまり、「「出生前診断」でも異常が分かれば殆どの人が中絶するんだし、「出生前診断」になったところでそれは変わらない。結局異常があれば中絶するものなんだ。生命の選別と言うのなら中絶自体がそうじゃないのか?」という主張。 ただ、「着床前診断の身体的・精神的負担の軽さが、その技術の利用を促進する→優生学的利用が行なわれる」ことを学会(さらには障害者団体)は懸念している訳だろう。つまり、いずれにせよ命の選別ではあるが、それ(選別)が容易となることを是としないというスタンスを学会(患者団体)は採っているハズ。 ここには、議論に少しズレがあると思うのよねぇ…。う〜む。。。 |
by vla_marie
| 2006-03-12 18:07
| 本
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