たとえ重篤な病気であっても、脳に障害のない子の生命維持装置を取り外すことが許されるか? |
朝起きてTVを付けたら興味深いニュースをやっていたので、早速ネット検索をかける。 3月3日付けの英インディペンデント紙によれば、「脳に障害はないが、患者のQOLが極めて低い場合、生命維持装置を取り外すことが許されるか否か」を決する最高裁判決が今日出されることになっているようだ(記事)。 従来、こうした形で取り外しが認められた事例は、患者の脳に何らかの障害が見られたケースに限られている。そのことから、本判決は注目されるところとなっている。(最終更新:10 mars 2006) 記事を読んでみると、装置の取り外しを求めているのは病院側で、患者の両親は知慮宇野継続を求めているという構図になっているようだ。患者は17ヶ月の男児で脊髄性筋萎縮症(spinal muscular atrophy)に冒されている。これは不治でかつ進行性の病気である(Wikipediaによる解説)。 詳細については元記事を読んでいただければ良いが、病院側の主張は概ね「患者のQOLは装置の取り外しが許される程に貧しい。故に治療はしない。」ということにある(NHSもこれを支持しているようである)。一方、患者の両親は、「彼(男児)は精神的には障害がなく、器官切開術を受けさせて欲しい。」という主張である。4日付の英Times紙の報では、月曜に判決が出ることになっていた(記事) そして月曜を迎えたが、7日付の英Times紙の報では裁判はまだ継続しているようである(記事)。9日付の英インディペンデント紙によれば、聴聞は終了したものの判決は今週中に出そうにないとのことである(記事)。 日本ではこうしたケースは未だ無いのではないか(間違ってたらごめん)。英国の医療制度や医療経済に明るくない私には、本件では多々分からない面がある。ただ、「無益な治療であるからといって、本人の意思(それが不明な場合には近親者-血縁者の意思)に反して治療を打ち切る」ことが、(治療における同意原則-意思主義を前提とするならば、)倫理的に整合性を満たし得るのだろうか…。 |
by vla_marie
| 2006-03-04 08:38
| なるほど
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