生体腎移植→養子縁組間5例 +ほか家族承諾54例目など |
10日の日本移植学会で(中間)報告があったそうな(毎日、朝日)。1年以内の配偶者間のケースも8例。 動画もあります(TBS)。 例の暴力団絡みの臓器売買事件を受けての調査ですが、親等制限で売買や提供の強制が回避できるかどうかについては以前から議論があったところです。 その売買事件、初公判では、仲介役に続いて(毎日)、ドナー候補が容疑を認めています(産経、読売)。 今回は、非親族間の事例の有無については報道されていないのかな?(調査対象外?) 以下雑文。 日本には生体間臓器移植について特化して規制する法律はありません。 臓器移植法は基本的に死体(脳死含む)移植についての法律であり、そのうちの臓器売買や斡旋規定が生体間移植にも及ぶとされています。一方、生体間移植での親等制限はガイドラインによるものです。 そもそもこの法が定める売買禁止規定は、臓器の売買が搾取にあたるとか個人の自発的な提供を損なうといった主張に支えられてきた感があります。 ただ、色々な主張はあっても、結局の所、売買禁止の根底にあるのは「人の体は売り買いするものではない」という信念とか価値観に他ならないのではないでしょうか。 こうした感情は多くの人が抱いているのかもしれません。ただ、これこそが直感以上に論理的に展開するのがなかなか難しいものです。ともあれ、売買は法によって禁止されています。 さて、生体間移植では、上述売買の禁止に加えて親等制限があるわけです。 生体間移植の場合、本人が生きているわけですから、とりわけ自発的な提供が求められます。親等制限も本人の自発性確保を目的として機能することが期待されるでしょう。 無論、この親等制限についても、かえって親族だからこそ(本人の自発性を損なう)提供の強要の可能性があることなどが指摘されてきました。しかし、今日までガイドラインの上では親等制限は生き続けています。 ときに、今回の事件では、養子縁組という形で親等制限を回避する事例が生じました。このケースでドナーの自発性があったかどうかは意見が分かれるでしょうが(お金で釣られたと言う方もいるでしょう)、ともあれ、学会サイドではより身分関係や意思の確認を強化する方向にシフトしていくようです。 ただ、そうすると、親等制限自体が本当に必要なのか、実際にどれほど機能しているのかには疑問があります。親等制限自体が本人意思の確認や売買禁止に役立つために有用であるならともかく、それ以外の手段(倫理委員会による徹底的な調査等)でそうした目的が十分に達せられるのであれば、親等制限自体の存在が疑問視されてもおかしくないように思います。 もとより、親等制限が本人の自発的な提供意思を拘束する制限であることを鑑みれば、なおさら突っ込みがありそうなものですが、世論はそういう方向には動いていないようです。 さて、家族提供54例目は9日に山梨県立中央病院の60歳代男性に対して行われました(47News)。ほんと、最近メディアでの扱いが小さくなりました…。 |
by vla_marie
| 2011-10-11 21:44
| なるほど
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