『ゴーレムの生命論』 |
絶賛帰省中です。雪が…酷いです。 そして、妹は渋滞に巻き込まれたらしく、帰省できておりません。 タイトルの通り、金森先生の新書を最近読みました(bk1)。 2010年刊。書評も既にあります(朝日)。 ゴーレムという人工生命体(?)を巡る言説を通して、他者論(ないしはそれに関係する生命倫理学領域)の拡張を試みる。そして我々と亜人間・人工人間との関係を考える時、それは人間自身について考え直すことになる…。 本書には色々なエピソードが散りばめられていますが、スジはこんな内容なんだと思います。 リアルな現実世界との接点を見れば、この人工生命との関係性を考えるという話は、ヒト・クローンやES細胞が話題になった90年代末から割と盛んであった気がします。 iPS細胞が話題となっている現在でも無くなったわけではないでしょう。 ただ、当時はどちらかというと、そうした生命を生み出す人間側の”人為性”だとか、生み出される生命の"尊厳"への注目が集まっていた記憶があります。 そうしたある意味古典的な(意地悪な言い方をすれば使い古された)キーワードに頼らないで、この種の問題に哲学的・生命倫理学的考察を可能とするアイデアを本書では試みているのかなぁ…と、個人的には楽しく読ませてもらいました。 ウェットな細胞系の話と、無機質な土塊を敢えて区別しないという作戦も(批判はあるのでしょうが、)なるほどねぇ…と。 とはいえ、本書はそれほどキレのある論述とは言えないのかもしれません。 ただ、ユダヤ教のゴーレム伝説の話とか、個々のエピソードはとても面白いので、ファンタジー・SF好きな方は十分楽しめるものと思います。 |
by vla_marie
| 2010-12-31 23:19
| 本
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