胎児のエコー、同意取得は半数(追記 |
9日の朝日新聞にドキッとするニュース(朝日、本紙は1面及び3面)。 日本で一般化している胎児の超音波検査ですが、この検査について、妊婦の同意を得て行っているケースが半数に留まることが報じられています。近年、超音波検査で胎児の染色体異常や心疾患がある程度わかるようになったことから(確定診断は得られないが)、中絶に繋がりかねない重い結果の取扱いを巡って現場での取扱いが別れている…ここに問題は無いのでしょうか?という内容の記事でした。 「超音波検査の結果が人工中絶の誘因とならないように、中絶ができない22週以降になるのを待って異常を伝え、「専門機関に紹介する」とした医師も5%いた。」 もともと日本では、羊水検査やクワトロ・マーカー・テストについては厚労省・日産婦は情報提供に消極的ですが、なぜかエコーだけは積極的に展開しており、今日ではほとんどルーティーン的に行われています。 ただ、たとえば2007年版の日産婦のガイドライン(出生前に行われる検査および診断に関する見解)でも、検査の実施にあたっては、遺伝カウンセリングを行うことになっています。 ということは…つまり、学会でも検査の実施と結果の告知の問題については以前から認識しており、そして、会員(医師)は、検査前に被験者に説明をして同意をとっておくこととなっていたのに、しかし、やっていなかったわけです。もちろん、ガイドラインに違反したからといってもすなわち違法なわけではありません。 気になるのは、記事を読めばわかるのですが、この統計自体の偏り。どうも都市部の診療所の回答が多かったようです。 そして、本紙3面には、「日本は、大学病院で遺伝カウンセリングをしているところもあるが、まだほとんどカウンセリング態勢はない。」とありますが、そうでしょう。 一方で、診療所としては、なぜカウンセリングの実施が低調なのか?同意取得がおろそかになっているのか?カウンセリングの重要性を理解したとしてもカウンセラーの確保が難しいから見送っているのか、そもそもカウンセリングの重要性が認識されていないのか、はたまたこのガイドライン自体が軽視される傾向にあるのか(流石にガイドラインの存在を知らないという会員はいないでしょう)…個人的には質問してみたいところですね。 追記:14日の朝日記事によると、神戸市で13日行われた日本周産期・新生児医学会で押しボタン式投票を行った結果、エコー検査に際して妊婦の同意をとっていないという回答が6割を超えたそうです(朝日)。 9日の調査結果について(たぶん?)の毎日記事、「出生前診断の定義を尋ねたところ、胎児の成長を確認する超音波検査を「出生前診断」と認識しているのは半数以下だった」(毎日新聞2010年7月14日26面) 9日の記事の調査結果と比べても、同意をとらないという傾向はあまり変わりませんね。まあ、9日の調査結果も同じ学会が出しているものですから。(最終更新:14 juillet 2010) |
by vla_marie
| 2010-07-10 12:06
| なるほど
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