厚労省臓器移植委員会、ガイドライン素案を公表 |
19日に厚労省臓器移植委員会が、7月に施行される改正臓器移植法の下での移植につき、被虐待児からの摘出の防止等に絡んだガイドライン改正案を公表したとのことです(朝日)。報道によれば、提供施設を3分類(1.18歳以上のみ可能、2.18歳未満の児童のみ可能、3.どちらも可能)に分けるほか、虐待防止委員会を院内に設ける見込みのようです。 臓器提供の意思表示可能年齢では15歳を区切りとしていることと、施設の分類では18歳を基準にしていることとは、一見整合性が無いように見えます。ここのところは、多分、児童福祉法とか児童虐待防止法との絡みで、18歳になっているのだと思います。 また、臓器提供「拒否」の意思表示は15歳未満でも可能とすることで、素案は結論づけているとのこと。脳死判定の間隔は、6歳未満では24時間とし、年齢による除外は生後12ヶ月未満となるようです。(毎日、CB)。 なお、このガイドライン改正案についてもパブコメが実施されるようです。 改正臓器移植法の下では、各種法令・ガイドラインの絡みから、年齢に応じたケース分けが複雑になりそうですね。 1).20歳以上の成年、2).提供意思表示可能な18歳以上の未成年、3).提供意思表示可能な18歳未満15歳以上の児童、4).拒否の意思表示のみ可能な15歳未満の児童、5).(実態はともかく形式的には)拒否の意思表示のみ可能であり、小児脳死判定基準の適用がある6歳未満の児童、6)年齢による除外にあたる、12ヶ月未満の小児。 改正法にあるような、いわゆる「推定同意」制度が肯定されるためには、臓器移植についての知見が社会一般に享有されていることが前提として必要だとか言われたりもします。そうであるとして、この複雑なシステムが、直ぐに国民全体の理解の及ぶところとなるとは、考えにくいです。 もちろん、法的には「知らなかった」では済まないわけですが。しかし、制度として法的には有効であるにせよ、運用上も十分な説明がなければ、たとえば「よく分からないから子供の臓器提供を承諾したが、やっぱりそこには錯誤があった」と主張されたりとか、相当ややこしい問題が出てくる可能性がないとは言えない気がします。まあそれだけに、実際には、家族全員が納得づくでない限り摘出は行わないというような、やたらと慎重な運用が行われるのでしょうけど。 |
by vla_marie
| 2010-04-22 06:53
| なるほど
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