『潜水服は蝶の夢を見る』 |
ロックト・イン・シンドローム(閉じこめ症候群)という病気があることは、この作品の映画化以来、ここ2〜3年で急速に、社会に認知が広まってきた印象を受けます。マスコミから学術誌までこの作品を採り上げていますし、最近はBMI(Brain Machine Interface)なんかも話題ですしね。2007年製作(日本公開2008年:公式)。 私は脳神経学者でもないし言語療法士でもないので、本作の脚色具合とか分かりませんが、見せ方の上手い作品だと思いました。特に、カメラの視点の扱いが。 えーと、この手のテーマだと、コミュニケーションの可能性について論をもっていく感想があり得るような気がします。 たとえば、我々は通常、言語によって他者との意思疎通を図るわけですが、本作の主人公はそれができない…でも、瞼の動きを通じて意思疎通を図ることができる。では、瞼すら動かせない場合はどうだろうか?と、論を進めていくやり方です。 ただし、このようなコミュニケーションの"手段"に障碍を抱えた患者への対応にあっては、精神活動が十全に機能していることが前提とされているのではないかと。 では、この"前提"が閉ざされている場合、我々は彼(彼女)とどうつきあうべきだろうか? 本作は、創造する脳内活動があることそのことに、ある種の人間性を見出していく…そういった描き方が濃厚な気がしますが、そうすれば逆に、十全な脳の活動が無い人の人間性はどうなのかなと。極端な例は、脳死?そんなことを考えさせられる作品でしたよ。 先週末は研究会でして、そして、明日もセミナーです。 こんなことを考えつつ、映画見ている場合じゃないですね(汗。 |
by vla_marie
| 2010-04-20 01:22
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