改正臓器移植法、提供決定者の範囲は家族+同居人? |
18日の厚労省作業部会で、改正臓器移植法における本人意思不明の場合の臓器提供を決定する者の範囲を、「配偶者、子、父母、孫、祖父母、同居の親族」とすることで纏めたと報じられています。なお、家族の総意は喪主たる者が纏めるとのこと(朝日、47News、読売)。 また、本人の拒否の意思表示の確認については、1).ドナーカードの記載事項、2).臓器提供意思登録システムへの登録、3).家族への聴取・確認で十分としたそうです(CB)。興味深いのは、知的障害者の拒否の意思表示については脳死判定の対象外としていることを維持する方針に対し、町野・水野委員の反論があることでしょうか。 なお、15歳未満の子の拒否の意思表示の有効性は認める方針であるらしい…です。 提供の意思表示については15歳以上にのみこれを認め(15歳未満には認めない)、拒否の意思表示については年齢を問わず認めるというのは…どういう説明がつけられるのでしょうか? この年齢制限は現行法のガイドラインにあるのですが、15歳で提供意思表示能力を区切った理由につき、民法上の「遺言」の行為能力になぞらえた説明がされているのは、良く知られているところです。ゆえに、提供にせよ拒否にせよ15歳で区切るのが、スマートだし多くの人に(納得できないにしても)理解できる説明かと思います。 一応、提供に肯定的な意思表示"のみ"を切り離して現行の説明に結びつけ、反対に拒否の意思表示については別の理由付けをもってくるという理由付けは、不可能ではないでしょう。例えば、提供拒否については、治療拒否の意思表示の方に結びつけて考えるとか?しかし、それでも0歳からの拒否の意思表示を肯定するには説得力が無いように思いますし、なにしろこういう理解がテクニカル過ぎるという批判もあるでしょうね。理論的には、相当厄介。 翻って仮に、今回の改正臓器移植法が「推定同意(Opt-out)」制度を採用し、本来的に本人の拒否が無い限り臓器を取って良いと解する場合は、15歳以上の提供への同意は(反対の意思も同意も無い場合に比べて)摘出要件を緩和する要素として解する、という説明で一応理屈が通るのかもしれません(ただし、改正法には「推定」の文言はありませんが…)。 ただ、この考え方だと、提供意思表示のフレームワークが大変更(Opt-in→Opt-out)されたことを前提にするわけで、その変更の正当性の説明が必要になることは言うまでもないわけです。しかも、緩和要素に過ぎない(決定的法的要件ではない)提供の意思表示を、これまでのように「遺言」になぞらえて15歳に切っていると説明することが、今後も説得力があるのかどうかあやしい気が…。 日が変わって昨日18日は、医学部保健学科に修了生の研究報告を聞きに。 研究自体の精度はもう一つの感がありますが、産科の実務にはなかなか興味深い問題がゴロゴロしていることが確認でき、結構興味深かったです。 報告を聴いていて思うのですが、近年は産のイベント化傾向が激しいような…。 例えば、バースプランという形で(ときに医学的な必要性以上に)個性的な産み方を選好する傾向とか、妊産婦や母親に対する色々なケア(アロマとかは…ケアというよりサービスに近いか?)が人気だったり。 こういう傾向は少子化と関係がありそうですね。昔みたいに複数の子を産むのが当然であれば、ここまでは…。 |
by vla_marie
| 2010-02-19 00:55
| なるほど
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