体外受精を2倍効率化する方法を開発+生殖子提供ドナー拡大の話 |
風邪が長引いております。マイコプラズマが今年は流行だそうですが…さて? 山形大がすごい技術を発明した模様です(読売)。 これまで見た目で決めていた胚のグレードを、データに基づいて選別できるようになったので、当然と言えば当然なのでしょうけど。 生殖補助医療関係は、今月も動きがありました。 特に、生殖子提供ドナーの拡大問題が大きかったです。 13日に、日本生殖医学会が、第三者の精子・卵使用の体外受精を容認する方針だと報じられていました(朝日、読売)。 ポイントは、1.兄弟姉妹・知人からの提供をOKとする、2.卵の提供をOKとするというところです(⇔厚労省作業部会2003年報告書)。 ほか、経費に当たる実費の補償を許可し、また、子の「出自を知る権利」を認める方針のようです。 後者がどうして肯定されたのか、その経緯は良くわかりません。兄弟や友人からの提供だと匿名性が確保されないことを前提として議論を進めたのか、その点は前提とせずにすべからく子は出自を知る権利があるという話になったのか…。 ▲▼ しかし、同13日、日本産科婦人科学会側としては、上記日本生殖医学会の方針に反対するとのコメントが出ています。 「厚労省部会報告書が、精子・卵子の提供を『匿名の第三者』に限定していることを尊重したい」とのこと(読売)。 ただし、卵提供に関しては、日本産科婦人科学会の吉村理事長も「解禁して欲しい」と学術雑誌でコメントを出しているのを読んだことがあります。 この読売記事自体は、「着床前診断」を行うと出産率が下がることを報じたものです。出産に至ったのはいずれも習慣流産のケースで、学会に報告された44人中3人のみだと。 結局、着床前診断って習慣流産に有効なのか?意味が無いのか? 習慣流産で、着床前診断を利用したケースと利用しなかったケースを比較しないとキチンとしたことは言えないと思いますが、そこはかなり問題のような気がします。 この記事内容からは、どういうデータを利用したのか私には良くわかりません。 というのは、「そもそも習慣流産に着床前診断が解禁・適用されるようになったのは、出産率の向上が期待されたから」という背景があったこと。 大谷医師の問題などの紆余曲折を経て、2006年に日産婦が習慣流産にも着床前診断が適用されるように方針を変えたわけで、その経過の中では(少なくとも)解禁派は出産率向上の効果を主張する人がかなりありました。 ⇔一方で、当時から有効性に疑問も投げかけられていました。 ▲▼ 検索を掛けてみたら、早くも大谷医師がコメント(反論)を発しています(着床前診断ネットワーク)。以下引用。 平成20年12月14日付の報道によると、日本産科婦人科学は承認した施設で44人に着床前診断を実施して3人しか出産しなかったと発表していますが、大谷産婦人科では染色体の転座をもつ習慣流産患者様63人に着床前診断を実施して、33人が出産されたことを平成20年8月28日に開催された日本受精着床学会学術講演会で発表しており、大谷産婦人科の技術の高さが明らかになっています。 長々と書いてありますが、要するに使っている技術が違うと。 読売記事自体にも、出産率の低さを技術的な問題でないかとする見解が載っていましたが、いずれにせよ「メソッドとしては有効だが、技術的にソフィスティケートされていない」ということですか。…ほんと? |
by vla_marie
| 2008-12-22 04:14
| なるほど
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